春の歌シリーズその7。
春は終わりから始まります。
桜の開花を待たずして別れの季節は始まり、
桜が散り終わる頃に人々は出会います。
欠伸混じりの通学路で桜を見ることなんてほとんど無いから、
桜を一緒に見るのは、根本的に、とても大事な人とだけです。
だから桜は美しい。

桜の周りをくるくると周るように、
別れと出会いを単振動のように繰り返しながら、人は大きくなっていくのです。

Hysteric Blueの「春~spring~」は、春という季節を分かりやすく示した名曲です。
歌詞が意味不明とよく言われますが、しっかりと読んでみると、とてもよく練られた歌詞であることが分かります。

知っての通り、春は英語でspringです。
すなわち、
フックの法則: F=kx(k:ばね定数、 x:位置) -(☆)
で表される一般的な「ばね」です。

 あぁ 同じ視点で見ている世界が
 あぁ 二人ビミョウにずれてた


これはどういうことか。
二つのばねのばね定数をそれぞれk1、k2としたとき、
運動方程式: F=maを代入することで、これらの角速度ωは、ω = 2π(m/k)^1/2
から、
ω1 = 2π(m/k1)^1/2
ω2 = 2π(m/k2)^1/2
となり、ずれることが分かります。すなわち、t=0で重なり合っていた単振動は、時間とともにずれを生じるのです。
時間とともにずれは拡大し、tc(n) = (2πn-1)(ω1 - ω2)に達した時に再び出会うのです。

 春が来るたびあなたに会える

とは、このtc(n)のことを示しています。

また、最も謎と言われる歌詞、

 授業よりも食事よりも もっと大切なコト
 私……歌が好き……


についても、この歌がばね視点であることを考えれば、つまり、こういうことです。

世の中には、

こういうところに使われているばねや、
pen

こういう使い方をされるばねもあるけれど、
hakari


私はこうなのだ。
metro_old

なんというプロ意識。

 あぁ 世間が 愛想尽かせても

今や、メトロノームなんて音楽の授業でしか見ないのに。
敢えて、シャーペンや重量計のような売れ線J-pop路線に乗ることなく、
プロの手で美しいクラシックを響かせるために私は存在しているのだと。
そんな意識高い系の曲だったんです。

 そういう気持ちを忘れずにいたら
 強く生きられるような気がして


そういう気持ちを忘れずにいたら、
獄中でも強く生きられるような気がして。

 揺れる笑顔 あとわずかな時間 近くにいたかった それでも

春は出会いと別れの季節です。



今日の曲 - Hysteric blue「春~spring~