私の住んでいる寮の近くには、ファミリーマートがあります。徒歩で行ける唯一のコンビニで、次に近いところは徒歩40分の位置です。
そのコンビニは、「クサマート」と呼ばれています。
オーナーがクサマさんだからという説と、大草原の小さなコンビニだからという二つの説が有力です。
特にクサくはありませんでした。

そのコンビニのオーナーは偉人です。
国道に面しているため、朝は広い駐車場に入りきらないくらいの車が買い物に訪れるのですが、客一人の応対に5分ほどかけます。
客商売ですから。日本のコンビニの機械的な対応とは違います。
どんなに混んでいても、「Tポイントカードお持ちですか?」の言葉を忘れません。
出せばポイント付くからね。100円で1ポイントの大還元だから!!

そして、108円の買い物に1000円を出すと、
「1000円でよろしいですか?」
→「10円あればお願いします」
→「100円でもいいですよ!」
→「500円でもいいですよ!!!」
という謎のコンボです。その500円は何だ。500円玉貯金でもしたいのか。

レジに客が並んでいても、
突発的にレジを空けて商品陳列を始めます。何がトリガーになっているのかは分かりません。
そのためレジは大行列になりますが(バイトがとにかく頑張る)、
経済学的にはきっと大正解です。客の要求する商品が無いことは機会損失に繋がりますから。
合理的な行動をとるオーナーは、経営者の鏡です。


そのクサマートでカレーを買った時、箸が付いてきました。
カレーに箸。
箸で食べられる限界点はエビピラフだと信じて疑わない私は驚愕します。
許容しかねるので、仕方なく買い置きのプラスチックスプーンを使います。買い置きが無かったら死んでたな。
クサマート許すまじ。

次の夜には吉野家で牛丼を買ってきました。
もうクサマートなど使うものか。
もう吉野家しか信じない。

箸が入っていません。
手で食べられる限界はマルゲリータピザだと信じて疑わない私は驚愕します。
許容しかねますが、箸の買い置きはありませんでした。
これは手か。手なのか。右手だけじゃなくて左手まで使ってしまうのか。インド人も怒っちゃうぞ。

そこで私はひとつの事実に気が付きます。
クサマさん「箸は置いておいたぞ」

そう。クサマートはこの事件を見越していたのです。
予知能力なのか。
いや、違います。これは、オーナーの客を見る目の賜物なのです。
おそらく、「こいつはスプーンの買い置きはあるが、箸の買い置きは無いに違いない」と踏んだのでしょう。
そのオーナーの注意力に救われたのです。

ありがとうクサマート。
フォーエバークサマート。

そう。
例え、他人からは理解されなくても、その人にはその人なりの世界がある。
僕らとは違うものが見えていて、それは無二の力になる!
その人の世界に、他人の僕らが文句なんて言っていいはずがないんだー!


あまりの嬉しさに、
クサマートへ行ってデザートを買うことにしました。
プリンとシュークリームです。

家に帰って食べようとすると、箸が2膳入っていました。



今日の曲 - さだまさし「主人公