人気を得るため、人々の求めるものを書こうという試み、第4弾。

日本人はやはり、24時間テレビがとても好きです。
苦しい思いをしても、負けずに努力する姿に心打たれるのでしょう。

アンパンマンの人気も、根っこは同じ。
痛い思いをしても戦う。
自分の顔を上げてまで、他人を満たそうとする。
身を削ってまで、少しでも他人のためになればという思いは人々に感動を与えるのです。

だから私は思うのです。
アンパンマンがアイス・バケツ・チャレンジをしたら最強の人気コンテンツになるんじゃね?

アイスバケツチャレンジは、今最もホットな人口膾炙ワードです。
これをやれば、微妙な芸能人でさえも新聞の一面に乗れる可能性があります。
これを批判する側に回って一面トップをゲット、といった頭脳プレイも最近は有効なようです。

とは言うものの。このチャレンジは、やりたくてやってるだろ感が否めないことは事実。
だって夏だし。暑いし。
世の中には、お金を払ってまで水を浴びに行く人さえいるんです。
水被って新聞に乗れるなら、そりゃやりますよね。

でも、世の中には、そんなこと絶対にやりたくない、指名周ってこないでよ、と震えてるヤツもいるんです。
それがアンパンマンです。

顔が濡れると力が出ないから、水ぶっかけはアンパンマンへの攻撃として最もスタンダードなものです。
それなのに水を被るなんて、自殺行為ではないか。

きっと、こうなることが予想されます。

BKM「次のアイスバケツチャレンジには、アンパンマンさんを指名します!」
AMP「な、何だってー!」
   「くっ……指名されたら、100ドルを払うか、水を被るかを選択しなければいけない……」
   「しかし……100ドルなんて、ほとんど僕の月給じゃないか……」
   「しょくぱんまんにやらせればいいだろ、あいつ普通免許もってるから待遇が段違いなんだよ」
ざわ……ざわ……
子供たち「ねぇ、アンパンマンは水を被らないのー? ALSの人なんてどうでもいいのかなー?」
親たち「そんなことはないわ、ヒーローなんだからきっとやってくれる。信じなさい」
子供たち「(キラキラ)うん! 分かった! 信じて待つよ!」
AMP「子供たちの夢を壊すわけにはいかない」
BKM「そのキレイな顔を吹っ飛ばしてやる
AMP「……でも……顔が濡れて力が出なくなったら、待機してるばいきんまんにやられてしまう……どうすれば……」
JAM「大丈夫じゃ。私に考えがある」

ざわ……ざわ……
子供たち「まだかなー」
親たち「(もうちょっとだけ待ちましょう、ヒーローを信じて)まさか本当に逃げたんじゃないだろうな」
子供たち「建前より本音が強すぎて出てます」
子供「あっ! 来た!」
AMP「お待たせ! 僕は水を被ることにするよ!」
BKM「ふっ……命を賭けて己の信念を貫き通す傾奇者か」
BTK「今よ、アンパンマン、新しい顔よ!」
BKM「このタイミングで新しい顔とは……血迷ったか」
   「!! なっ……まさか、これは……」

mizuman

BKM「若菜屋の水まんじゅう!」
   「風味豊かな小豆を炊き上げ丁寧にまるめたこしあんを口当たりなめらかな葛でやさしく包みこんだ、あの若菜屋の水まんじゅう!」
   「夏の暑い日に食べたくなる、定番お菓子! なんと東京に居ながらにして通販で買うことも出来る!」
   「15個でなんと2160円(税込)! なんというお得感!」
   「くっ……気づいたら10セットも注文していた……」
AMP「元気百倍! 水マン!」
   「どうだ! これなら、何百杯だって浴びることが出来る!」
子供たち「すごいや! 若菜屋の水まんじゅうすごいや!」
BKM「(届いた水まんじゅうを食べに)バイバイキーン!!!」

こうして、世界の平和は若菜屋の水まんじゅうによって守られたのである。

それなら全然問題無いじゃないかって?
そんなことはありません。この話には続きがあります。

AMP「誰も次に指名する人がいない……」

察してあげてください。
愛と勇気だけが友達である悲哀を。
まだボールが友達であるほうが遊び甲斐があるってものです。

周りに友達なんていないんです。
オーナーでありマスターであるジャムバタチーズ、
仕事だけの付き合いである食パンカレーパン。
いつも連絡がつかないロールパンナ。
三人だけの世界を築いて誰も寄せ付けない丼たち。
危ない武器を振り回して怖いおにぎり。
国籍が違うから意思の疎通が危ういハンバーガー。

リア充の遊びに足を突っ込んだからと言って、
自分もリア充になれるとは限りません。
むしろ、悲しい結末を迎えることの方が多いのです。

それを知って、なおアンパンマンはALSの人のために体を張りました。
その心意気に日本中が涙することでしょう。
(でも友達は増えません)