長らく中断していた麺の話を再開したいと思います。

しかし、その前にどうしても書いておかなければいけないことがあります。
カップ焼きそばにおける誤表記問題です。



私が理解できない主張の一つに、このようなものがあります。
「カップ焼きそばって焼いてないじゃん」

もちろんカップ焼きそばは焼いてません。
小麦粉を水で練ったものを油で揚げ、食べるときにお湯で戻しているだけです。

そういう意味では、前述の主張は確かに正しい。
しかし、冷静に考えてみてほしい。

そもそも、あれはそばなのか?
参考までに、google画像検索でそばを検索した結果を貼っておきます
そう、あのルチンとか入ってて身体に良さそうな色のもの。あれが唯一無二のそばなのだ。
もし、焼きそばの麺をどうしても「そば」と言いたいならば、
「0割そば」とでもしたほうが良いと思います。

さらにもう一つ。
そもそもあれはカップじゃありません。
強硬にあれをカップだと言い張るならば、試しにUFOでコーヒーを飲んでみてください。
流出速度がナイアガラ級のターボ湯切りだから。
飲みごたえもターボだから。
一瞬で飲み終わって悲しい気持ちになるから。

以上のことから、このように言うべきだと思うんです。
×「カップ焼きそばって焼いてないじゃん」
○「カップ焼きそばってパック戻し0割そばじゃん」
これが誤表記の無い、声に出して読みたい正しい日本語です。

「カップ焼きそばってパックゆで麺じゃん」。
折衷案として認められるのはこのくらいまでだな。

しかしひどい。カップ焼きそばは酷い。
全ての要素が誤表記になっている。

言うなれば、
・鮮魚のムニエルを頼んだら、魚肉ソーセージのバター炒めが出てきた。
・芝エビのチリソース炒めを頼んだら、タコさんウィンナーのソイソース炒めが出てきた。
それくらいのインパクトのある誤表記だ。


しかしもちろん、問題はパック焼き麺だけではない。
コンビニに行けば、そんなのは山ほどある。

例えばローソンのおにぎり。
もしかすると、あれを買っている人の中には、
西島秀俊が一つひとつ握ってるんだと信じて買ってる人もいるかもしれません。
しかし、夢を壊して申し訳ないけれど、

あれは全部機械で作ってるんです。
機械でぺったんぺったん潰しているだけ。

そう。握ってない。これも誤表記だ。
「おつぶし」とでも名称変更しないとクレームが入っちゃいますよね。



しかし、私が最も憂慮しているのは、横浜名物でもある焼売なんです。
カップ焼きそば焼いてないじゃん問題を提起する人は多いけれど、
焼売焼いてないじゃん問題を指摘する人は殆どいない。

店で売っている奴はまだ良い。
問題は自分の家で作った場合だ。

焼売は蒸し料理だ。焼いてない。
しかも売ってない。
売ると言いながら売らないなんて、これは民法第415条で定められる「債務の不履行」にあたる。
もはや誤表記ではなくて法律違反だ。

もしこれが「揚げ焼売」にランクアップしたらどうなるだろう。
揚げてるのか焼いてるのかはっきりしない。
そんなどっちつかずの草食男ばかり、という現代を象徴する食べ物ですね。

揚げ焼売は肉を包んでいるのに草食を標榜している。
もう入れ子構造が複雑すぎて、私は何を信じれば良いのか分かりません。